チョコレート作りに挑戦したいけれど、テンパリングが難しそう…そう思っていませんか?実は、温度計がなくても、指先の感覚だけで本格的なチョコレート菓子が作れるんです。今回は、初心者さんでも失敗しにくい「シード法」というテンパリング方法と、ハロウィンにぴったりなマンディアンの作り方をご紹介します。

なぜ温度計なしでテンパリングができるの?


テンパリングというと、温度管理が命!というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。確かに温度は大切ですが、実はもっと重要なポイントがあるんです。

私も最初は温度計とにらめっこしながら作っていたんですが、ある時気づいたんです。人間の指先って、すごく優秀な温度計なんだなって。



人間の指先の温度は、室温25度くらいの環境では約26〜32度。この温度帯が、チョコレートのテンパリングに必要な温度を感じ取るのにちょうどいいんです。お風呂のお湯くらいの温度(約40度)を「温かい」と感じ、室温と同じくらいを「温かくも冷たくもない」と感じる、この感覚を使えば温度計がなくてもテンパリングができるというわけです。

準備するもの


まず用意していただきたいのは、これだけです。

チョコレートは、できればクーベルチュールチョコレートを使いましょう。クーベルチュールというと製菓用の特別なものと思われがちですが、単純にカカオバターがたっぷり入った本格的なチョコレートのこと。カカオバターの代わりの油脂が入っていないので、美味しさも仕上がりも格段に違います。

💡 ポイント

ボウルは必ずプラスチック製を使いましょう。ガラスだと温度管理が難しく、金属だと電子レンジが使えません。100均の直径10センチくらいのもので十分です。



今回使うのは、メインのチョコレート50gと、後から加える新品のチョコレート10g。メインの方は一度使って余ったものでも構いませんが、後から加える10gは必ず新品の、袋から出したてのものを使ってくださいね。

シード法でテンパリング実践!


ステップ1:チョコレートを溶かす


プラスチックボウルに50gのチョコレートを入れて、電子レンジ600Wで30秒加熱します。一気に長時間かけてしまうとチョコレートが焦げてしまうので、必ず30秒刻みで様子を見ながら進めましょう。

最初は面倒に感じるかもしれませんが、チョコレートを焦がして台無しにしてしまうよりずっといいですよ。私も何度か焦がした経験があります…



1回目の30秒では、底の方が少し溶けてくる程度。2回目の30秒で、触ってみてほんのり温かいくらいになります。お風呂のお湯よりもぬるいくらいが目安です。

まだ固形が残っている場合は、最後にもう一度加熱しますが、3回目は要注意!15秒程度の短時間にして、焦がさないように気をつけましょう。

ステップ2:温度を下げながら結晶を整える


完全に溶けたチョコレートに、新品のチョコレート10gを加えます。ここからが大切なポイントです。

💡 ポイント

テンパリングは温度管理と同じくらい「混ぜる」ことが重要!混ぜが足りないと、温度が合っていてもテンパリングが取れません。しっかりと混ぜ続けましょう。



混ぜながらボウルの底を指で触って、温度を確認します。最初は「ほんのり温かい」と感じるはずです。これを「温かくも冷たくもない」と感じる温度まで下げていきます。

私はこの混ぜる時間、今日あった出来事を思い返したりしています。今日はレーザーカッターでアクリル板を加工しに行ったんですが、あの独特な溶剤のような匂いがすごくて…なんて考えながら無心で混ぜていると、あっという間に時間が過ぎますよ。



加えた10gのチョコレートが完全に溶けても、まだボウルがほんのり温かい場合は、追加でチョコレートを少し足して、さらに混ぜ続けます。冷え性の方は、自分の指よりほんのり温かいところで止めても大丈夫です。

ボウルの底を触って「指先と同じくらいの温度」と感じたら、テンパリング成功です!

ハロウィンマンディアンを作ってみよう


テンパリングが取れたチョコレートで、簡単でかわいいハロウィンのお菓子を作りましょう。マンディアンは、チョコレートにナッツやドライフルーツを飾った、フランスの伝統的なお菓子です。

本来はレーズン、いちじく、ヘーゼルナッツ、アーモンドの4種類を飾りますが、好きなトッピングでアレンジして大丈夫。私はレーズンが苦手なので、いつもクランベリーを使っています。

今回用意したトッピングは、ローストしたくるみ、パンプキンシード、オレンジピール、そして有機カカオニブ。ナッツ類は165〜170度のオーブンで10〜15分ローストしておくと、香ばしさが増して美味しくなります。

💡 ポイント

ナッツは低温でじっくりローストするのがコツ。高温だと表面だけ焦げて中が生っぽくなってしまいます。



転写シートがあれば、裏面にハロウィンの模様をつけることができます。転写シートは、バレンタインシーズンになると100均でも手に入りますが、なければクリアファイルやコピー用紙でも代用できます。食品用アルコールで拭いて清潔にしてから使いましょう。

スプーンでチョコレートを一口大に垂らし、お好みのトッピングを飾ります。きちんとテンパリングが取れていると、ナッツの周りからマットな感じに結晶化していくのが見えるはずです。これが成功のサインです。

固める時の注意点


チョコレートを固める時の理想的な温度は22度以下。でも、冷蔵庫は寒すぎるので注意が必要です。

冷蔵庫を使う場合は10分程度にとどめ、その後は室温に出しておきましょう。急激に冷やしすぎると、表面に結露ができたり、白く曇ったりする原因になります。

我が家はチョコレートをよく作るので、ワインセラーを活用しています。16〜18度をキープできるので、チョコレート作りには最高の環境なんです。



転写シートを使った場合は、最低でも30分は置いてから剥がしましょう。焦って早く剥がすと、せっかくの模様が欠けてしまうことがあります。外側から中心に向かって結晶化が進むので、特に中央部分は時間がかかることを覚えておいてくださいね。

まとめ


温度計がなくても、指先の感覚を頼りにすれば、本格的なチョコレート菓子が作れます。シード法は初心者さんでも失敗しにくく、特にこれからの季節にぴったりの方法です。

ダークチョコレートに含まれるテオブロミンには心血管系への良い影響があるという研究もありますが、何より大切なのは「美味しいから食べる」という純粋な楽しみですよね。

ハロウィンやクリスマスに向けて、ぜひ手作りチョコレートに挑戦してみてください。温度計がないから…と諦めていた方も、この方法なら気軽に始められるはずです。お菓子作りの楽しさを、ぜひ体験してみてくださいね。

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